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Vol.06
『チタンパーツのイメージと実際〜その3〜』
ゲスト:KTSミュージカルプロダクツ 増田 博氏
ホスト:MR.S(Allparts Japan)
進行役:威 成一 |
<プロフィール>
増田 博……KTSミュージカルプロダクツ代表。10年前、純チタンを素材に用いたサドルを発表し、リプレイスメントパーツ業界に大きな一石を投じる。以後、数々のチタンのパーツを開発し続け、金属素材に対する知識・経験と探求意欲は、他の追随を許さない。KTS
Musical Products Inc. OFFICIAL SITE
MR.S……「Allparts Japan」ウェブサイトの、謎の管理人。
威 成一……小説・脚本家にしてギターマニア。時折、音楽機材のレビュアーも務める。 |
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威:10年前と比べると現在は、チタンという素材に対する認知度は、ギター業界のみならず一般的にも広まってると思いますが……
増田:10年前というと、ちょうどチタンが世の中でメジャーになり始めたところですよね。G-Shockとかメガネとか、ゴルフクラブとか。イメージ的にもジュラルミンとかアルマイトより、チタンという方が……
MR.S:「おおっ」という気になりますよね。
増田:そう、他の金属より画期的な感じがするじゃないですか。そういう、イメージ的なものも大事だと思うんですよね。ビンテージに対するイメージ・固定観念を否定しておいてこんなこと言うのも何だけど(笑)。商品がいいのはもちろんだけど、それに伴うプロモーションのしかたというか、「チタン」というものをアピールも必要。
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MR.S:英語でも「Titanium」って、カッコいいですよね。
増田:文献のデータを見ても、全ての面においてチタンが理想的っていうわけじゃないんだけどね。
威:まあ、出音がよければということで。
増田:そう。音さえよければ、「資料には音の減衰率がどうの、伝達がどうのと書いてある。じゃあそれをセールスポイントにしよう」ってできる。音のよさがホントにそのせいかどうか自信はないけど、ウソはついてないから(笑)。物を作ることは加工技術さえあればできるけど、それを商品として育てるのは難しいことなんです。 |
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MR.S : 既にチタンパーツは流行とは別次元で、素材として認識されてる気がしますよ。
増田:でも、フェンダー・ギブソンという2大ブランドはなかなか変えられないなぁ。
MR.S : それにしても不思議ですね。純チタンの方がチタン合金より硬くないっていうのは。
増田:実は、純度が高いほど軟らかいっていう。チタンは軟らかいけど削るのはすごく難しい……「丈夫・頑丈」っていう表現がふさわしいかな。ガチガチに硬いわけじゃないけど、丈夫。 |
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MR.S:丈夫ですか。確かに耐久性がないとギターのパーツには不向きですからね。
威:ムダに硬くても、接した部分から弦が切れ易くなるし。
増田 :うちのネオチタニウムは表面が硬くても中は柔らかいから、弦がグッと圧力で沈み込んでいく感じですね。そういう形で溝ができていくから、弦が切れにくくなるみたいです。
MR.S:お話を伺ってると、やっぱり音楽業界ではなく金属業界から楽器パーツの世界に入っていった、増田さんならではの考え方を感じますね。
増田:音楽業界にいたら、人脈もまた違ったものになっただろうし、発想も違った方向からだったかも知れないですね。
威:ちなみに、Sさんはチタンパーツを使ってみたことは?
MR.S:ありますよ。レスポールモデルのサドルを換えたんですけど、某バンド(=LZの皆さん)のコピーバンドをやってる以上は同じパーツを使いたいので、ブラスサドルに戻してしまいました(笑)。でも、すごくいいサドルだとは感じましたね。そのとき、なぜチタンサドルに換えたかというと、私がコピーしている某ギタリストの音がトレブリーな方に寄ってるので、チタンに変えれば多少トレブルが増すかな、と思ったんです。でも、実際は全然そんなことはなく、むしろ大人しくなった感じはしましたよね。暴れないというか、非常にバランスがよく、使いやすいサドルだと感じました。
増田:キャストじゃなくて削り出しのブラスのサドルは、私もいいと思いますよ。ホントにいい素材を削り出して作ったサドルなら、中のバランスもいいんじゃないかな。そうそう、「ベルブラス」っていう言葉がよく使われるじゃないですか。だけど、実は材料的にもどうやって定義していいかわからないし、辞典にも載ってない単語なんですよ。ベルメタルっていうのは鐘の金属、つまりブロンズ・青銅のことだから。それと同じものだったら、ベルブラスじゃなくてベルブロンズだよなぁ、と思うけど。
MR.S:前回のコンデンサーの時にも話が出ましたけど、そういう実体のあやふやな、迷信的なものは業界に根強くありますよね。
増田:でも、こっちも何から何まで全部分析してるわけじゃないからね(笑)。
威:結局は風説よりも、使う人が実際に弾いて、音を聞いて、気に入ったものを選んで貰うのが……
増田:一番ですね。楽器で大事なのは、やっぱりその人が弾いてみて、「いい音だなぁ」と思ったときにプレイがよくなる、そこじゃないですか。チタンパーツを付けてクリアな音が自分の耳にポンと入ってきて、音がimproveしたなと思って気分が高まり、それがいいプレイにつながって……という循環になれば、と。チタンパーツを使ったって、弦が悪かったりしてプレイが乗らないこともあるじゃないですか。エフェクターを忘れたりとかディレイの電池が切れてたりとか(笑)、そういう原因で。エフェクターやシールド、アンプ、そういうギターを弾く要素の中のひとつとして、ウチの小さなパーツがお役に立てればいいな、と。それによってプレイヤーのモティベーションが上がって欲しい……というのが自分の一番の望みですね。
(了) |
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Vol.05
『チタンパーツのイメージと実際〜その2〜』
ゲスト:KTSミュージカルプロダクツ 増田 博氏
ホスト:MR.S(Allparts Japan)
進行役:威 成一 |
<プロフィール>
増田 博……KTSミュージカルプロダクツ代表。10年前、純チタンを素材に用いたサドルを発表し、リプレイスメントパーツ業界に大きな一石を投じる。以後、数々のチタンのパーツを開発し続け、金属素材に対する知識・経験と探求意欲は、他の追随を許さない。KTS
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威 成一……小説・脚本家にしてギターマニア。時折、音楽機材のレビュアーも務める。 |
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威:硬いだけでも軟らかいだけでもいけない、金属パーツは不思議ですね。
増田:例えば、カラハムのトレモロブロックって硬いですよね。
MR.S:そうですね。
増田:あれは、圧延材で作ってるからじゃないかと思うんです。だから、表面が硬くて中が軟らかい。それが音のいい要因のひとつじゃないかと。
威:でも、ビンテージとリイシューのサドルで、硬さが異なっているのはなぜでしょう? |
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MR.S:材料が変わったっていうことですかね?アメリカだったら国内調達だったのが、メキシコあたりに変わったとか。
増田:そうかも知れないです。サドルを作っている人たちは、きっと意識して金属の組成を変えようなんて思ってないですから。「内部構造が均一で軟らかく、表面は硬い方が音がいい」という考え方と矛盾するかもしれないけど、金属加工業界では外が硬くて中が軟らかい状態を「モナカ」と呼んで、あんまり好ましくないことなんですよね。私も最初にチューン・O・マチックのチタンサドルを試作したときに、硬さは完全に均一じゃないとダメだと思って作ってました。
MR.S:難しいですね。 |
増田:だから、今回のネオチタンサドルはビンテージサドルと同じ構造にしてるのは確かです。だけど、同じ構造にしたからといって同じ音になるとは限らない。それこそ、表面にサビが必要なのかもしれないし(笑)。
MR.S:KTSさんは、現在はチタン部品のみ作られてますけど、スレンレスやブラス、鉄などの素材に興味を持たれたことは?
増田:他がやっている素材をウチがやっても、面白くないですから。
MR.S:それでは例えばチタンのフレットとかはどうでしょう?
増田:例えばフレットに使われるニッケルなんかは、既にヨーロッパだとアレルギー成分が問題になっていて、工業製品全体としてニッケルフリーの方向に向かってるんです。ステンレスでも、ニッケルが含まれているのは多少の腐食で出てきちゃう。だから、チタンでニッケルフリーなフレットが作れればいいんだけど、チタンは指版のRに合わせたり削るのが大変だから……
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MR.S:キャスト・鋳物についてはどうですか?
増田:自分のHPにも書いているけど、オガクズを固めて木材の代りにして、ギターのボディは作らないでしょ?というのと同じことだと思うんです。つまり、金属粉を固めて作ったスカスカのスポンジのような物は、音に良くはないだろうと。そうは思うけど、量産品のテールピースを一つ一つ削り出しで作ってたらエライことになっちゃいますよね(笑)。
MR.S:確かに(笑)。
増田:でも、カスタムギターとか高いギターは全部削り出しでパーツを作ってもいいかも。実は、ある所から依頼があって、TOMのブリッジ本体を試作してみようと思ってるんです。他にも、「マイクカバーをチタンで」とか「ピックガードをぜひ」とか、色々言われてるんですよ。
MR.S:ええ〜?
増田:カスタムショップ向けの一品物だったら面白いかも知れないけど。自分一人だけの物が欲しいというのも大事だけど、私としてはできるだけ沢山の人に「音が良くなったじゃん」と喜んで頂ければと思うんですよね。
威:そういう意味でも、サドルを変える効果は大きいかもしれないですね。何よりまず、弦に最初に触れている部分だし。
増田:効果は大きいと思いますよ。テイルピースを変えるとかより、サドルを変える方が誰にも違いがわかりやすいと思う。
威:構造的な面に加えて音的な好みという面でも、増田さんの趣味は開発に反映されてますか?
増田:いや、それが面白いもんで、自分の信念で作るといい音に聞こえるんですよ(笑)。今だから言えるけど、そもそもチタンが音がいいとかいう学術的な文献を読んでいたわけじゃないし。チタンでパーツをキレイに仕上げれば、見た目もカッコイイし最高に違いない!っていうのが最初で。で、作ってみたものを当時セミプロだった知人のギタリストに使ってもらったら「いいね、これ」ということになって。次に某楽器店の店長に弾いてもらったら、「なかなかいいんじゃないか」ということで。でも、周りの人からは「チタンだからじゃなくて、多少精巧に作ってあるからじゃないの?」とか言われてたんですよ。
そこで、鈴木松美先生という音響分析の有名な先生に−−当時は有名だって知らなかったんだけど−−分析を依頼したんです。音を聴いてもらって、コンピューターにかけて、「コレはいいパーツだ」と言ってもらい、そこでようやく「よし、これを売ろう」ということになったという。それまで客観的なデータがなかったから商品化に踏み切れなかったんだけど、自分の主観的な部分ではいいと思ってましたけど。ただ、ウチは金属加工でこれこれの技術があって、それを使ってギター業界で変わったことができればいいな、という気持ちはありましたから。そういう挑戦をしたおかげで、いい人の繋がり・友だちが沢山できたし、知らない事も色々教われたし、自分の世界が広がりましたね。
(その3に続く!) |
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Vol.04
『チタンパーツのイメージと実際〜その1〜』
ゲスト:KTSミュージカルプロダクツ 増田 博氏
ホスト:MR.S(Allparts Japan)
進行役:威 成一 |
<プロフィール>
増田 博……KTSミュージカルプロダクツ代表。10年前、純チタンを素材に用いたサドルを発表し、リプレイスメントパーツ業界に大きな一石を投じる。以後、数々のチタンのパーツを開発し続け、金属素材に対する知識・経験と探求意欲は、他の追随を許さない。KTS
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MR.S……「Allparts Japan」ウェブサイトの、謎の管理人。
威 成一……小説・脚本家にしてギターマニア。時折、音楽機材のレビュアーも務める。 |
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威:それでは、今回はKTSの増田さんを迎えてのチタンをはじめとした金属談義ということで、よろしくお願いします。
MR.S:そもそも10年前、増田社長がチタンでギターパーツを製作しようと思ったのはどういう動機からでしょう?
増田:元々、ウチは金属の加工業をやっておりまして、チタンという素材が身近にあったわけですね。そこへきて私がギター好きなもんで、レスポールスタイルのブリッジサドルが目にとまったわけです。弦がのっかる大事な部分なのに、あまりきれいに作られてないように感じました。その形状も、うちの加工技術が得意とするところだったんで、じゃあ作っちゃえって事になったんです。でも私は楽器業界の古いモノを良しとする保守的な面を全然知らなかったんですよ。実際、新しい素材をやり始めたときに「こういうのは難しいですよ」という否定的な意見もいっぱい貰ったんですけど、ウチとしては、新しいものを提案して、業界の人よりまずお客さんに判断してもらいたいと思って。ビンテージの再現とはまた違った意味で、音に対する提案をしていきたいというのが基本です。
威:なるほど。 |
増田:金属パーツっていうのは、ギターにとって比較的小さな存在だと思うんですよ。木材やピックアップに比べて。なので、金属部品屋というのはギター業界的には小さな存在でいいと思うし。ギターを全部チタンで作るとかいうのはまた別問題であって、金属パーツはギター全体の小さな部分・ヘルプの部分でいいと思うんですよね。
MR.S:業界的にもビンテージギターの音がいいのは、ビンテージが使っているパーツがよかったからだと思っている人が多いですよね。例えば、フェンダーのストラトだとサドルもプレートも鉄板、ブロックも鉄と、鉄の組み合わせです。一方のギブソンのレスポールだと、ブリッジ本体は亜鉛ダイキャストです。それに弦が乗る部分のサドルはブラスでテールピースの本体はアルミダイキャスト、ボディに埋めるアンカーとスタッドは鉄ですね。そういう、比重の違う金属を4種類も組み合わせて使っていいんだろうか?と、常識的には考えられてもいいわけですよ。 |
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増田:そういう作りだからこそいい音だという概念が出来上がっちゃってるんですよね。いい音に対してはリスペクトしなきゃいけないのは基本的にあるけど、我々としてはもっと新しいものを提案したいと思います。
MR.S:10年ほど前ですか、最初は私も「え?チタンのパーツ?」って驚きましたね。やっぱりチタンには硬いというイメージがあった、だからキンキンした音になるんだろうなという先入観があって。 |
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増田:先入観っていうのは大きいですよね。そういうイメージがあると、弾いてみても現実と関係なく出音がそう聞こえちゃったり。ユーザーさんに実際に使ってもらって、理解してもらうのには時間がかかりますね。
MR.S:でも、今では日本のみならず海外にもチタンパーツは浸透しましたよね。ミュージシャンの人たちも多数使ってくれて。
威:そういう、チタンパーツに対する認知度が上がっているという実感はありますか?
増田:徐々に徐々にですよね。最初は楽器屋さんに弾き比べ用のストラト2台とレスポール2台、同じモデルでチタンパーツとそうじゃないのを持ち込んで、どういう違いがあるか?というのを判ってもらって。そうやって、ホントに少しづつ少しづつですよ。
MR.S:そして、去年からさらにチタンの表面に処理を加えた新しい商品を始められました。
増田:あれは、プロのギタリストで結構ピッキングが強い人から「弦が切れちゃうのを何とかならないか」と意見がありまして。そこで、何か加工をして表面を滑らかにすれば、弦が切れにくくなるんじゃないかと。あと、金属パーツの場合、内部の組織が均一な方が音的にはいいんですけど、ウチのチタンサドルでも加工による歪みが多少はあるんです。そこで最終的に熱処理をして、表面に硬化膜を付ければ、音の伝達も向上して弦も切れにくくなるんじゃないか……という意図もあったんです。で、音の評価に関しては「コレいいよ!」という人もいれば「変わらないなぁ」という人もいて、まだわからないですけど、弦が切れ易くて困ってる人に対しする選択肢の一つとして、こういう商品が役に立てばと。
MR.S:なるほどね。
増田:以前、ビンテージサドルとリイシューサドルの部位ごとの硬度や化学組成を分析してもらったことがあるんです。そうしたら面白いことに、ビンテージとリイシューでは明らかに違うという結果が出たんですね。一番の違いは、ビンテージの方がどの部位も同じ硬さだということ。
威:それは面白いですね。今の技術で作られた方が、均一な構造のサドルが作れそうな気がしますが。
増田:今のはバラバラ。上端に行くほど硬くなってる。要するに昔の方がカーボン量が少ないんですよね。一番外側をメッキなんかの硬い層で被って、中は軟らかい。それを知って我々も、チタンのパーツも中は軟らかくして表面に硬い皮膜をかけてやれば、音的にもよくなるんじゃないか……という考えたわけです。ヴィンテージとは、逆の方向性で..なんて言ってるくせにね..(笑)
(その2に続く!) |
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Vol.03
『高いキャパシター=良いキャパシターなのか? 〜その3〜』
ゲスト:ラムトリックカンパニー 竹田豊氏 |
<プロフィール>
竹田 豊……我が国屈指のギタービルダー/クラフツマンであり、ラムトリックカンパニー代表として、Sonicブランドを冠したハイクオリティな楽器及びパーツをリリースし続ける。またその一方で、専門学校講師や様々な著述で、後進の育成に尽力している。LUMTRIC
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MR.S……「Allparts Japan」ウェブサイトの、謎の管理人 |
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――それでは竹田さんがSonicブランドで販売されているキャパシター、OCシリーズでは1,500円の定価が付けられているわけですけど、価格設定やターゲットユーザーなど、商品コンセプト――そこには竹田さんのパーツに対するポリシーも含まれていると思うんですが――について伺いたいと思います。
竹田:価格的には、数多くのキャパシターの中から実際に容量を測って、許容範囲のものを選び出すという手間の部分で1,500円という数字を付けてるんです。だけど、それでも色んなキャパシターがある中では、決して安い物ではないと思う。一個2万円とかいう世界から見ると安い部類かも知れないですけど。ターゲットとしては、ある程度ギターの電装に興味を持っていて、キャパシターを換えてみようかな?っていう人たち。
――なるほど。 |
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竹田:で、そういう人たちが陥り易いポイントは何か?というと、やっぱり誤差の問題だと思うわけです。表記上0.047μFのものが、実際には数値と中身が違ってて、その音の違いをキャパシターそのものの違いだと思ってるパターンが多い。こちらとしては、それに気付いて欲しいわけなんですよ。ちゃんと容量の数値を狭い範囲まで絞って、選んで売ってるのがウチの商品しかない以上、実際は余所と比較のしようがないんですけど……そういうことがあるんだと分かってもらいたいと。
――誤差による音の違いと、キャパシターの種類による音の違いは別ですよ、と。
竹田:実際にウチがキャパシター単体で売ってるものは、作っているギターに使っているものと一緒のわけだから、自信を持ってお客さんに出せるというのも確かなんです。でも……商売っ気のない話になっちゃいますけど、「だから買ってくれ!」というわけじゃないんです(笑)。「こういうことに気付いてくれ!」という方が、気持ち的には大きいです
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by ももピー |
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――迷信的なイメージではなく、キャパシターの現実を知って欲しいという感じですね。
MR.S:例えば、竹田さんがお付き合いしているミュージシャンの方から、キャパシターについて何か言われたことはありますか?「○○を入れてくれ」とか。
竹田:あるバンドに関しては、メンバーよりもマネージャー氏の方がそういう事にうるさい(笑)。実際、オレの付き合いのあるプロのミュージシャンの中に、キャパシターに拘る人ってあんまりいないですね。
MR.S:私が直接知ってるミュージシャンにもそういう人は殆どいません。むしろ、一般のユーザーさんの方が、構造とか絶縁体に関する問い合わせが多いですね。実際、今現在コンデンサーを作っている企業ってしっかりした会社ばっかりだから、ハッキリ言ってそんな変な物は売らないと思うんですけど。
――モノ的に変わらなければブランドが付いてる方がいい、いわゆるブランド志向がキャパシターの市場価格を上げたり、レプリカを生んだりしてるんですかね。
竹田:ブラックビューティーなんていう呼び方も割と最近のわけですよね?
MR.S:そうですね。
竹田:そういう呼び方をされてる時点で美化されてるよね(笑)。
MR.S:ブラックビューティーとか、バンブルビーとか、キャッチーな名前があるとウケがいいんですよ。
竹田:ウチのにも何か愛称を付ける?
MR.S:付けましょう。「Sonicさんのコンデンサーの愛称募集」、採用者にはAllparts
Japanから何かプレゼント、ということで。
――皆さんのご応募をお待ちしております。ということで、最後に竹田さんの方から、ユーザーの皆さんに対して、リプレイスメントパーツを作る側からの望みというか、こんな姿勢で愛器と向かい合って欲しい、みたいなまとめを一言お願いします。
竹田:それは深いよね〜(笑)。そこまで包括した話になると、結局「いいギターとは何なのか?」ということになるんですよ。音に関しては、最終的には好みの問題で、皆さんの好きな物を使って下さいとしか言えないんだけど。いいギターというのは音がいいギターとはまた話が別なわけで。限界まで精度を上げて人間の限界の技術で組上げたギターと、すっごいいいかげんに作ったギターがあったとしましょう。すると後者の方が音がいいと言われる、というのは普通にあるんです。結局は好みの問題なので。ギタリストにとって、自分の耳を信じるというのは一番大切なことで、値段や評判よりも自分が積み上げてきた知識や経験、感性を大事にして欲しい。逆に一方で、わかる人から見ると、「このギター、ちょっと手を加えればもっと音がよくなるんだけど」という場合がよくあるんです。そういう意味で、相反する話ですけど、感性を信じると同時に経験・知識の深い人の話を謙虚に聞く事を忘れないで、と思いますね。
(了) |
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Vol.02
『高いキャパシター=良いキャパシターなのか? 〜その2〜』
ゲスト:ラムトリックカンパニー 竹田豊氏 |
<プロフィール>
竹田 豊……我が国屈指のギタービルダー/クラフツマンであり、ラムトリックカンパニー代表として、Sonicブランドを冠したハイクオリティな楽器及びパーツをリリースし続ける。またその一方で、専門学校講師や様々な著述で、後進の育成に尽力している。LUMTRIC
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MR.S:実際、どうなんでしょうね。例えば0.047μFのコンデンサーでも、20%の誤差があると、0.056μFあたりになっちゃうわけで。
竹田:そうですね。
MR.S:普通、レスポール/ハムだと500kΩのポットに0.022μFのキャパシター、テレキャスとかシングルなら250kΩに0.047μFを使う。それはちゃんと根拠があって、そういう数値なわけですけど、誤差によってその根拠が崩れるとか……
竹田:いやいや、そこまでの影響はないと思うけど。結局、誤差が大きい方に出てキャパシターの容量が大きければ、より低い周波数までカットされてしまうから、より籠った音になる。逆に、少ない方に誤差が出ることによって、カットされる周波数が高い方に寄ることで、モコモコ感は減ると。より低い音しか出ない方に誤差がある場合には音が太いと感じる人もいるだろうし、少し高い音まで出ちゃうキャパシターだと、音ヌケがいいっていう風に言う人もいるわけですよ。 |
MR.S:ハイが出る=音ヌケがいい、じゃないんですけどね。
竹田:その辺の、音を表すコトバが抽象的であるがゆえ、何とでも言えちゃうんですよね。
MR.S:例えば、ストラトのシングルに500kΩ+0.022μFの組み合わせを付けたらどうでしょう?
竹田:恐らく、オレ程度の耳の人間には(そういう組み合わせの回路だとは)わからないと思います。トーン回路のキャパシターを0.022μFにしたことによって、高音の削れ方がいくらか少なくなるんで、「このギター、トーンを絞っても高音出るよね」という感じには聞こえるんだけど、事前に情報を知らされなければ、「まあ、こういうストラトもあるよね」くらいの差だと思います。
MR.S:曖昧な部分ではありますね〜。そうすると、ユーザーとしては何を交換すればいいでしょう?音を変えるという意味では。
竹田:やっぱりピックアップを換えるのが一番ですけどね。 |
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by ももピー |
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――キャパシターの影響度というか、費用対効果という点では?
竹田:現実的な話、アキバで売ってる50円のフィルムコンに換えたとしても、恐らく音は変わりません。だけど、「自分の大切なギターに50円のキャパシターじゃなぁ」という悲しさが残るんですよね(笑)。それはギタリストとしてはとてもツライと。そこそこの満足度を得たい、「オレはキャパシターにも拘ってるぜ」と思いたい・他人にもアピールしたいというのであれば、最低限オイルコンを入れればいいかな……
MR.S:私の場合、某社のレスポールモデルを数本持っていて、某バンドの曲を演るのに合わせて全て日本製のビタQを使ってます。やっぱり、3本とも同じトーンの籠り具合が必要だから個体差のない、安定しているのが一番なんですよね。
――そういう、「これこれこの音が出したい」というのがハッキリしてる人はわかりやすいですよね。
MR.S:60年代の中古や、オールドのストック品を付けたら、一個は籠るけど一個は籠らないじゃ困るわけですよ。
――いかがでしょう?そういう、ターゲットとする出音がハッキリしているユーザーではなく、もっと一般的なユーザーの求めるキャパシターの妥協点と言うか……
竹田:まあ、満足度ですよね。キャパシターに2万円は払えないけど、1,500円なら払える、でも50円で買えるものが1,500円じゃあいかにも高い。もちろん、お金が余ってる人は(費用対効果をヌキにして)満足度のためにお金を使えばいいわけだし。人によってはキャパシターに1,000円も出せないという人もいるかもしれない。結局、音そのものというより、ギターに対する愛着とお金のバランスの部分で、いかに現実的に気持ちよくギターを弾けるか?それが大事なわけですよ。それはキャパシターに限ったことじゃなく、弦とか色々なものも含めて、自分が気持ちよくギターを弾くための投資であれば、いくらでもすればいいと思う。そこで、「高いキャパシターだから安いキャパシターより音がいい」とか言われると「?」と思うわけですよ。
――なるほど。それでは竹田さんがSonicブランドで販売されているキャパシター、OCシリーズでは1,500円の定価が付けられているわけですけど、商品として目指すもの――
そこには竹田さんの部品に対するポリシーも含まれていると思うんですが――について伺いたいと思います。
その3に続く! |
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Vol.01
『高いキャパシター=良いキャパシターなのか? 〜その1〜』
ゲスト:ラムトリックカンパニー 竹田豊氏 |
<プロフィール>
竹田 豊……我が国屈指のギタービルダー/クラフツマンであり、ラムトリックカンパニー代表として、Sonicブランドを冠したハイクオリティな楽器及びパーツをリリースし続ける。またその一方で、専門学校講師や様々な著述で、後進の育成に尽力している。LUMTRIC
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第1回目はキャパシター(コンデンサー)について伺っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
MR.S:ここ10年ほどで、楽器店やネットオークション市場で、バンブルビーやブラックビューティーなど、有名なオイルキャパシターの値段が随分上がったと思います。果たして高いキャパシターを付ければギターの音が本当に良くなるのか? 2万円のキャパシターには2万円の価値があるのか?ということなんですけど。以前、色んなコンデンサーを同じギターで付け替えて、テストしたことがあるんですよ。その時は、50年代のバンブルビーが、確かに一番いい音がしたと思うんです……というのも、多分に先入観が入ってると思うんですけど。
竹田:それは、テストの時に表向き0.022μFと表示されてるのが、実際はどの位の容量があるか測ってみました? |
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by ももピー |
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MR.S:やってないです。
竹田:それをやらないとわからないですよねー。新品でも+−20%の誤差が許されちゃってるので、ましてや20年以上も経っちゃってるなら、極端な話、容量が半分になってても不思議はないわけで。
MR.S:ピックアップのアルニコマグネットと一緒ですね。それでも(中身がわからないのに?)アキバで2万以上も出してオールドのオイルコンを買う人がいるわけで。そこまで出せないけど気持ちだけでも、という人はレプリカを……
竹田:表から見えるわけじゃないんだけどねぇ(笑)。 |
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MR.S:ホントは全てコピーしたいんだけど、構造も全く一緒のオイルコンデンサーを、今の日本で作るのは不可能に近いので。オイルコンの小さいのを作ってるとこって、日本には殆ど無いんですよね。でも今現在、キャパシターに高いお金を出しているユーザーが求めているものって何でしょうね?
竹田:それがオレには一番わからない所で。古いものを有り難がるという流れは、キャパシターに限らず(エレキギター周辺に)全体的にあるじゃないですか。その中でキャパシターに目が向けられるようになって来たのはピックアップやギター本体に比べて比較的最近だと思うんですけど、オイルコン一個の値段が2万円というのは、モノの価値としてはどうだろう、とは思いますね。
――それは、出音とかプレイフィールの面で?
竹田:だと思うんですよ。さっきの話みたいに出音を比較テストしても、完全にブラインドテストをしない限り、先入観は絶対入るし。さらに、誤差の問題。誤差を完全にクリア――というか許容範囲を決めて、その中に収まっているパーツを使うと。でも、そこまでやってテストしても、オレは音の違いが何に起因しているのかまではわからないと思う。10人なり20人なりの被験者がいて、そこで値段と音の良し悪しで納得できる数値が出るとは、個人的には思えない。そういう(実体の希薄な)物に価値を付けるというのは、そういう業界的には、商売的にはアリなのかも知れないけど……
――性能的には今の方が上でも古いものを有り難がるというのはギターに限らず車やオーディオでもありますし。
竹田:「オレは骨董品としての価値に2万円払う」というならいいんですよ。そこで、「古い方が音がいい」とか言い出すからおかしくなる。単純に、あるキャパシターと同じ音のものを作るというのなら、今の日本の技術なら恐らく出来るんですよね。
MR.S:ヒスコレなんかでも、セラミックコンが付いてたりしますもんね。
竹田:スタジオでやったちゃんとした試験じゃないですけど、ギターの中に色んなキャパシターを仕込んで、ロータリーSWで切り替えられるようにして実験したことがあるんです。オレ自身、そんなに耳に自信があるわけじゃないけど、少なくともオレには全く聞き分け付かなかった。
MR.S:ましてや、オーディエンスにはわからないでしょうね。
その2に続く! |
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